-和栗の品種のご紹介(代表例)-

日本栗/和栗(Castanea crenata Siebold et Zucarini)は、北海道北部などを除いた日本国のほぼ全土と朝鮮半島といったユーラシア大陸東部に広く分布しており、柴栗と呼ばれる野生種を品種改良したものです。一般に日本種は果実が大きく、風味や加工用・料理用に優れているものの調味しないと品質は劣り、渋皮の剥離性に劣るという欠点も持っています。クリも一般果実類の温州みかんや梨などのように早生、中生、晩生に分ける事ができ、それぞれで収穫時期は異なります。
古代の栗は自然発生的なもので品種の区別がなく産地名をつけただけものが多く、我が国で最も古いクリ栽培の記録を持つのは丹波地方で、古くから丹波栗のブランドは著名です。柴栗しか産出しない地方は大果である丹波栗の導入を競ったといいます。江戸時代後半となるとクリ栽培に人為的要素が増え、大果の枝木を実生の苗木に接木したり、異形の区別栽培などが導入されました。
現在の品種系統の統一化は明治34年(1901年)、農林省農業試験場園芸部で全国の栽培品種を集め、分類し、命名していった事から始まり、年と共に品種の数は増え、大正5年(1913年)には510余種が記録されていました。
しかし、昭和16年(1941年)岡山県下で発生したクリタマバチの被害は瞬く間に日本全国に広がり、昭和30年前後にはクリタマバチ耐虫性のない品種の殆どは一掃され、クリの品種は一変してしまいました。この為、多くの品種が栽培不能となり、市場から姿を消しました。これにより現在の品種は基本的にクリタマバチ耐虫性品種となります。

 品種名熟期実の大きさ特徴                    
早生種森早生(モリワセ)極早生
(8月下旬から9月上旬)
中栗豊多摩早生×日本栗系朝鮮在来種。早い時期に出荷できるが収穫量が少なく、主力品種には適さない。肉質良好。食味は紛質、程々の甘み。しなびが多い。粒はやや小粒、色は褐色。
丹沢(タンザワ)早生(9月上旬)大栗乙宗×大正早生の交雑実生より育成。早生種の中では代表的な品種。粒が大きく、ツヤはあまりないが、甘味があり美味。色は淡褐色。
伊吹(イブキ)早生(9月中旬)大栗銀寄×奥多摩早生。「丹沢」と「筑波」の間に収穫される早生。果実は粉質、甘みは中程度。香りはそれほどでないが裂果が少なく、品質に優れる。栽培適応性は広く、低湿地帯でもよく結実する。色は淡黄白色。
国見(クニミ)早生(9月中旬)大栗丹沢×石鎚の交雑実生。肉質は粘質。「丹沢」と「筑波」の間に収穫される早生。大粒、味は大味で加工向け。肉質はやや粉質、甘味は少ない。色は淡黄色。
人丸(ヒトマル)早生
(9月中旬から下旬)
中栗実が綺麗でツヤもあり、味もいいが貯蔵性はよくない。甘みが多い。
中生種筑波(ツクバ)中生大栗岸根×芳養玉の交雑実生。粉質で甘味が強く、香気もある。裂果、双子果が少なく貯蔵性がいい。実が平均して大きく、豊産性。色は淡黄色。品質は極めて良好。
利平(リヘイ)中生大栗日本栗×中国栗の一代雑種。形は丸く、実は黒っぽい色。天津甘栗のように渋皮が剥きやすいのが特徴。貯蔵性はあまりよくない。粉質の果実は甘さがあり、蒸し栗、焼き栗、栗粉に適する。肉質が硬く脆いため、シロップ漬けなどの加工や調理には適さない。
銀寄(ギンヨセ)中生大栗歴史ある丹波栗の代表的な品種。広島から移植された大阪府豊能郡歌垣村倉垣の能勢栗が原産といわれる。寛政の大干ばつの際、亀山や尼ヵ崎方面に出荷し、多大な利益を上げた事から「銀寄」と名付けられた。果実は粉質で甘みが多く、風味も豊か、品質は良好。色は淡黄色。貯蔵性はやや劣る為、加工用品種としては不向き。結実するのが遅く、風に弱い性質から収穫量が安定しない。経済寿命が長いが、低樹高に向かない。栽培面積は年々減少している。
晩生種石槌(イシヅチ)晩生(10月上旬)中栗岸根×笠原早生の交雑実生。若木から結実しやすく密植栽培に適する。低樹高栽培向き。早期豊産性。貯蔵に最適。品質がよく加工原料向き。果肉は淡黄白色。
岸根(ガンネ)晩生(10月中・上旬)大栗山口県岩国市(旧玖珂郡美和町)原産、異名が多く、来歴も明らかではない。数百年の歴史を経て、大正2年登録。石鎚と並ぶ代表的な晩生品種、貯蔵性は高く大果。実は粉質で味は甘く、まろやか。冷蔵で甘みが増す。外見は薄黒く艶がないが、香りも優れる。果肉は乳白色。
晩赤(バンセキ)最晩生大栗品質上。古い品種で近隣市場出荷向き。形は小判に近く、果肉は淡黄色・粉質。果頂劣果・胴割れ果多し。