音衛門のヨーロッパ栗へのこだわり

ヨーロッパ栗について

世界で五指に入る有数の栗の産地であるイタリア、そこで採れる栗はというと「ヨーロッパグリ(Castanea sativa)」となります。

Castaneaは「栗」、sativaは「栽培されている」といった意味合いを持つ学名です。

その名の通り、南東欧ないし西アジア原産といわれる野生種に品種改良を行ったものです。

 古代ローマ時代にはヨーロッパ広域、北方にまで植林された栗は、「パンの木」などと呼ばれたように、イタリアに限らず十分な穀物栽培ができない山間部などの土地では重要な主食として、多く含まれるタンニンは革のなめし剤などに、また頑丈で耐久性・耐水性に優れた木材として人々の生活を古くから支えて来ました。

 日本では栗=マロンと認識されている場合が多いですが、イタリアでは一般に栗の事を「カスターニャ/castagna(単数形。複数形castagne)」、大粒の栗の事を「マローネ/marrone (単数形。複数形marroni)」と使い分けて呼んでいます。

フランスでは前者を「シャテーニュ (châtaigne)」、後者を「マロン(marron)」と呼んでおります。
本来的にはマロンはマロニエ(トチノキ)の実を指す単語でしたが、マロングラッセを栗で作るようになってから栗の事もマロンと呼ぶようになったと言われています。

トチノキはトチノキ科トチノキ属、栗の木はブナ科クリ属ですので、紛らわしい名前でも両者はまったく異なる植物です。
余談ですが、栗の木はイタリア語で「カスターニョ/castagno」、フランス語では「シャテニエ/chataignier」となります。

カスターニャを使った菓子などでも、加工後は「マロン~」と呼ばれるものも多く、国外からみると混乱しやすいのも無理もないかもしれません。

 音衛門の製品では、この「カスターニャ」種と「マローネ」種、二つの種類のイタリア栗を使っております。

こちらの二種ですが、双方とも「ヨーロッパグリ(Castanea sativa)」の中の一種となります。両者の違いを簡単に説明すれば、カスターニャは毬の中に複数の栗の実が入った日本でもお馴染みの栗に近い見た目の栗、マローネは基本的に毬の中に栗の実が一つ程度入った大粒の栗で、中央部に割れ目のないものを指すと言われています。
大粒の栗へと長い時間をかけて品種改良された高級品種がマローネであり、渋皮が剥がれやすく、甘みや香りに優れるとされます。カスターニャは焼栗や栗粉、栗粉から作られるパスタやパン、栗菓子などに、加工に向いた大粒のマローネは秋冬を代表するマロングラッセなどの材料となります。
一般的なイタリア栗では毬の中に平均2~4個程度の種子が入っている物が主流です。

 ヨーロッパ栗は害虫などに弱く、幾らかの日本栗との交配なども行われていますが、日本での栽培は極めて困難な上、検疫の為の苗木の輸入制限も厳しく、その為、日本で消費されるヨーロッパ栗は欧州からの輸入に依存しているのが現状になります。
ヨーロッパグリは日本栗と比べると渋皮が剥け易い特性がありますが、この特性は遺伝子的に劣性であり、他種の栗との交配時に性質を残すのも難しく、また栗という植物自体が環境に影響されやすいことから、同一品種の栽培でも気候や風土によって品質が左右されやすい問題もあります。